JaSST Tohoku実行委員ブログ

JaSST Tohoku実行委員のあれこれを載せていきます、たぶん、きっと。

JaSST'17 Tohoku レポート

こんにちは。はじめまして。
JaSST'17 Tohoku実行委員のささきです。
大分間が空いてしまいましたが、2017年5月26日、JaSST'17 Tohoku 無事開催することができました。
地元からも遠方からも多くの方にご来場いただき誠にありがとうございました。
そして、基調講演と事例発表をしていただいたみなさま。
貴重なお話しありがとうございました。
私自身も勉強になるお話が沢山ありました。

今回のblogでは、そんなJaSST'17 Tohokuのレポートをお送りしようと思います。
なお、当日のスライドは下記に上がっておりますので、
今回参加できなかった方、気になるセッションがありましたら是非スライドをご覧になってください。

http://jasst.jp/symposium/jasst17tohoku/report.html#openning_s

今回のJaSST'17 Tohokuのテーマ :
「テスト分野における人財育成 ~テスト技術者は砕けない~」と
いうことで、育成についての基調講演、事例発表、ワーク等を通じて、
育成についての悩みを共有し、解決のきっかけを見つけて持ち帰って貰いたいということで、このテーマを選定いたしました。

■基調講演
「テストの極みを目指して
 ~さあ、理想に近づくための一歩を踏みだそう!~」
山崎 崇さま(ベリサーブ)


テストオペレーターからテストのプロフェッショナルへの最初の一歩を踏み出すためのお話をしていただきました。

(印象に残ったワード)

  • テストの価値は情報提供
  • 早い、安い、旨い
  • テストをこなすことにそんなに意味はない。適切な情報を適切なタイミングで提供することに意味がある。
  • ほかのエンジニアと違ってテスター≠テストの専門家ではない。テスターはテストの専門家であってほしい
  • Professional Tester's Skill-Space (TESTSKILL/ITSKILL/SOFTSKILL/DOMAINSKILL)
  • テスターは開発を加速させるための協力者というマインド
  • 最初の一歩を踏み出すために重要な3つのこと

  ①テストの全体感を持つ
  ②ロールモデルを見出す
  ③成長へのモチベーションを持ち続ける

 ①テストの全体感を持つについて

  • テストの全体感を持つための3つの軸(テストレベル/テストプロセス/テストタイプ)
  • 特に重要なのがテストケースを作るまでのイメージを持てること
  • (よくあるパターン)テスト設計技法を勉強したので、実務に適用しようとしてうまくいかない。テストベースに対していきなりテスト設計技法を使うのは失敗フラグ、テスト設計技法を使うためにはいろいろな前準備がある。いきなり使うことはできない。

 ②ロールモデルを見出すについて

  • 大まかな方向性を意識する(技術トラック/マネジメントトラック)
  • テストの専門性には様々な方向性がある。具体的にイメージできる憧れの人を持とう。
  • セルフデベロッププランを作ろう

 ③成長へのモチベーションを持ち続けるについて

  • 成長は目に見える形で測れて実感できることが大事。
  • 社外に飛び出す

(感想)

沢山時間をかけ推敲してくださったスライドは圧巻の一言。

テスターは開発を加速させるための協力者というマインド というところにすごく納得しました。私も目指しているテスターの姿です。対立ではなく、互いに協力できる関係でありたいです。

成長へのモチベーションを持ち続けるために社外に飛び出す についても共感しました。広い世界に飛び出していろいろな人と出会うことはとても刺激になりますよね。

事例発表1
「インキュベート修了者からの変化
~テストエンジニアへ進化するための成長プロセス~」
土岐 しのぶさま (ウェブレッジ)

ウェブレッジさんで実施している、社内教育制度「WRキャリアフレームワーク」と、成長プロセスについてお話しいただきました。

(印象に残ったワード)

  • テスト設計研修は「教わる」のではなく「考える」研修
  • 基礎編と応用編があり、

  基礎編 : 仕様書に書かれていることを整理する
  応用編 : テスト観点を洗い出し、構造化する(ワークを実施する)

 

(感想)

テストを極めるための多彩なキャリアパスがあることがとてもうらやましい。私はテストの研修というのを受けたことがほぼないため、こんな研修をうけられるウェブレッジの社員の方は幸せだなぁ。。。と、終始考えながらお話を聴いていました。

事例発表2
「テストエンジニア版RPG風スキルマップ」
根本 紀之さん (JaSST東北実行委員)

面倒なスキルマップを楽しくつけられるRPG風スキルマップの発表です。

(印象に残ったワード)

  • 「学習」を手助けするのが「育成」
  • テストエンジニア版RPGスキルマップ
  • ロールは 戦士、魔法使い、商人、僧侶、道具使い、盗賊
  • スキルマップは自分たちで再構築してみるとよい
  • 成長を実感させる方法の一つに褒めることがあるが、タイプによってほめ方を変えるとよい
  • タイプは4種類(達成者/探検家/社交家/殺人者)
  • 達成者 : 何かを達成することに喜びを見出すタイプ
  • 探検家 : 新しいことに挑戦したいタイプ
  • 社交家 : 人とのコミュニケーションに重きをおくタイプ
  • 殺人者 : 勝ち負けなど競争に重きをおくタイプ

(感想)
スキルマップは実施するのに時間がかかったり、つけることが難しかったりと、必要なことはわかるけどちょっと面倒なイメージを持っていましたが、RPG風のスキルマップを見て「こういう方法もアリなんだ!」と目から鱗でした。

簡単につけられてしかも楽しいところがとても気に入ってます。

事例発表3
「WACATEにおけるワークショップ開発の流れ」
朱峰 錦司さま (NTTデータ

スライドタイトルは「社内および社外活動におけるテスト研修開発・運営事例」ということで、WACATEのお話と、朱峰さんが業務で携わっている研修開発・運営のお話をしていただきました。

(印象に残ったワード)

  • 研修の役割とは学んだことを現場に生かすために間を埋めるもの
  • (事例1) 自社グループ向けに実践的なテスト設計研修を開発
  • 研修の対象者はテスト専任の方はまれで、基本的には要求定義~実装に関わっている方。
  • 2日間で完結するオールインワン。基礎編と応用編。
  • 応用編では詳細な仕様書を用意して実施している。
  • (事例2) 「WACATE」の運営
  • テスト設計に加え、素振り・実践がしにくいテスト分析をグループで演習できる場を提供
  • テンプレートを用いたセッション企画
  • 開催回ごとにホットな時事トピックを扱う
  • NextStepは中級者・上級者向けの施策
  • チームでの振り返り、プロジェクトをまたいだノウハウの共有・事例共有
  • シンポジウムやカンファレンスでの情報共有・事例発表
  • 自身・自社が扱うドメインになるべく近い題材にもとづいた実践的な研修が必要。
  • 座学だけでなく、実際に受講者がその場で手を動かしてテスト設計をする演習を盛り込むことがポイント。

(感想)

テスト設計の勉強をしてもそれを業務に生かせない、という悩みは実際によく聞くので、学んだことをどう使うかを知れる研修というのは、素晴らしいと感じました。
私自身はテストのことをよく分からないままテスト業務に放り込まれて、なんでこんなことやっているんだろう?と思っていたことを、テストのことを勉強するうちに「あ、だからこんなことやってるんだ!」と理解してきたのでとても時間がかかってしまったのですが、知識を得て、それを業務に近い形で体験して、実際に業務に入れるというのは
自分がやってきたことをとても短い時間で理解できるのだろうなと思い、素直ににうらやましいと思いました。
その分研修を実施するまでの準備は苦労は多かったと思います。


事例発表4
「テストエンジニアとしてキャリアを積み重ねて見えてきたこと
~ なにを大切にし、なにを変え、なにを変えなかったか ~」
山本 久仁朗さま (アカツキ

多くの企業を渡り歩いてきた山本さま自身が感じた、評価されるスキル、ポイントと
普遍的なスキルについてお話し頂きました。

(印象に残ったワード)

  • 現場の悩みで「テストのキャリアがない」、「テストが評価されない」、「キャリアアップの実感がない」
  • 組織ごとの評価ポイントには加点式/原点式と安定/変化がある。
  • クラシックなテスト技法は新しい会社では、意外とちゃんとやってない。
  • テスター・テストエンジニアの評価が効果的に行われていないのはなぜか
  • 評価するには可視化&合意が必要。つまり「説明責任」
  • 良い技術・手法が広まらないと業界損失
  • 評価される立場の人は組織カルチャーを認識し、スキルアップし、可視化・合意する
  • 評価する立場の人は必要スキルを再確認、組織特性を踏まえた評価方法を検討。
  • 評価の先には日本のソフトウェア産業の未来がある

(感想)
山本さんのお話を聞いていると、あ、テストってこんなにすごいものなんだ!そんなすごいことを自分たちはやっているんだと思えるので、すごく前向きになって、最後には「あー、明日からもテスト頑張らなきゃな」という気持ちになります。

テスター・テストエンジニアの評価がきちんと行われるための説明責任と評価方法の検討を今後自分も頑張っていかないといけないな。と思いました

 

ワークショップ
「状態遷移図(表)を作成してみよう」

状態遷移図の作成のワークを参加者全員で行いました。
作成したものは近くの席の人と互いに見せ合って確認しあいましたが、ほかの方の状態遷移図を見ると自分の考え方との違いが発見できて勉強になりました。

お題が皆さんが想像しやすい内容だったらか、ワイワイと盛り上がりながらワークに取り組んでいただけていたように思います。

 

お悩み相談会

今回の基調講演と事例の発表者の方々を参加者で囲みながら、参加者の日頃の疑問に答えたり、質問をしたりする時間を設けました。
どこの集まりも盛況で、発表者と参加者はもちろんですが、参加者同士で交流している姿も見られとてもよかったと思います。

 

■全体を通じての感想

アンケートの結果から参加者の方の満足頂けたのかな、ということが感じられたのがとても嬉しかったです。

テスターのキャリアについてどの現場でも結構悩んでいて、でもそのことについて話を聴ける場というのは少ないと思うので、参加者の皆様の今後のテスト活動において参考になる内容を提供できたならうれしいです。

 


今回参加された方は、是非次回もご参加いただけると嬉しいですし、参加していただけるイベントとなるよう実行委員一同頑張ってまいります。

今回は参加できなかった、という方も、次回は是非参加していただけると、とてもうれしいです。

それでは、みなさまありがとうございました。